「 忙しい時期は、多少の睡眠不足 も仕方が無い … 」
「 少しぐらい 眠れなくても問題ない よ … 」
本当にそう思ってます?
そんなこと言っていたら、マジでいつ死んでもおかしくないですよ?
睡眠のプロたちは口をそろえて「 睡眠不足 のときは 怖くてハンドルを握れない 。」と言います。
それはナゼ !?
今回は、車を運転する全ての人に考えて頂きたい睡眠不足の話。
目次
睡眠不足での運転は「飲酒運転」より危険 !?
飲酒運転が危険なのは、アルコールにより脳の処理速度が低下することで、一瞬の危険に対応できなくなることにあります。
酒を飲むと、判断力、注意力が低下するばかりか、危険を感知してから、ブレーキを踏むまでの反応速度も低下しているので、猛スピードで走るの車の運転は命取りなのです。
しかし、飲酒しなくても、夜遅い時間の運転 は、飲酒運転以上に危険 な状態なようなのです。
以下は睡眠をとらない状態の脳機能を飲酒時と比較したものです。
- 「 17時間 」 の不眠状態 … 血中アルコール濃度:0.05% 、呼気濃度0.25mg に相当
- 「 20時間 」の不眠状態 … 血中アルコール濃度:0.08% 、呼気濃度0.4mgに相当
- 「 24時間 」の不眠状態 … 血中アルコール濃度:0.1% 、 呼気濃度0.5mgに相当
※ 酒気帯運転は「 呼気濃度 : 0.15mg ~」0.25mg以上は免許の一発取り消しです。
6時に起床した場合、17時間後の23時におけるアナタの脳は、酒気帯運転 となる、呼気濃度0.25% 相当まで低下 しています。
これは非飲酒時に比べ 約2倍 交通事故を起こす確立が高まっている状態。
そして、夜勤で徹夜となってしまった24時間後の脳機能は飲酒時の呼気濃度0.5%に相当し、これは「 酩酊状態 」と同じ数値です。
夜勤明けで、眠いのを無理して帰るのは完全に酔った状態で運転している事となんら変わらないのです …。
運転事故は睡眠不足による『脳の停止』が原因 !?
「 でも多少の睡眠不足なら大丈夫でしょ? 」
そう思っていませんか?
しかし、睡眠不足 で最も怖いのは判断力の低下ではなく、突然 脳が機能を 停止 することです。
こうした現象は「マイクロスリープ」と呼ばれ、脳が極度の疲労から、回復するために数秒~数十秒間、 知らぬ間 に居眠り してしまうものです。
人は危険を感じた際には無意識でも「ハンドルを切る」、「ブレーキを踏む」などの防御反応をとりますが、多くの事故でブレーキ跡などの危機への対応がみられないことから、多くの交通事故にこのマイクロスリープが関係していると考えられています。
残念ながら、マイクロスリープ が原因だと考えられる事故では運転手が 死亡 するケースが多いため、調査や対応が追いついていないのが現状です。
車を60キロで走らせていて、4秒間の脳が停止したらその間70m暴走しすることになります。
睡眠関連の専門家が「 睡眠不足の時は怖くてハンドルを握れない 」というのは決して大げさではありません。
『交通事故の確率を高める』のは酒?それとも睡眠不足?
ディスカバリーチャンネルでは、睡眠不足状態と、飲酒運転の比較を行いましたが、これは「 過去の検証の中でも 最も危険 なモノだった 」と言われています。
実験は、警察立会いのもと、レギュラー出演者のトリー・ベレッチィと、キャリー・バイロンにより、アメリカで飲酒運転とみなされる数値(血中濃度0.08%)ぎりぎりの0.7%まで酒を飲んだ状態と、30時間の不眠状態で運転するというもの。
結果、トリーは25周のコースを回る間に77秒のコースアウト、キャリーは210回、合わせて5分半もコースアウト。
飲酒運転時も多くのミスを出したが、睡眠不足の状態はそれよりもスコアが低く、ミスは 3倍 、また、飲酒時よりも 10倍 も危険な運転だったという。
『仕事のミスが多い』のは睡眠不足?
アメリカの学会誌「Sleep」では、夜勤の医師と、非夜勤の医師20名を対象としたマイクロスリープの実験結果を発表しています。
実験はタブレットにランダムに表示される点滅に反応するもので、非夜勤のグループは反応に問題が見られなかったが、夜勤後 の医師グループは3回~4回、数秒間 全く反応しない 時間があったという。
そう、睡眠不足 の医師は「目を開けたまま、寝ていた」のです。
命を扱う医師が居眠りって …。
最近、仕事のミスが増えたりしていませんか?
それ、もしかしたら睡眠不足が原因かもしれませんよ?
>> 「仕事のミス…」それ睡眠が足りてないんじゃない? 『睡眠不足を知らせる5つのサイン』って?
交通事故を未然に防ぐ3つの防止策
ここからは、睡眠不足で運転する時に気をつけたい3つの心構えをご紹介していきます。
1. 絶対に『コーヒー』で眠気対策をしない!
運転中の「 眠気はコーヒーで紛らわせる 」と思っていませんか?
確かにコーヒーに含まれるカフェインは覚醒を生みますが、それは単に 脳の疲労を抱えたまま 眠れない状態を作っているにすぎず、マイクロスリープへの対処法にはなりません。
眠い時はカフェインという考えは捨てましょう。
>> 運転時の眠気にコーヒーは危険? 運転中の3つの眠気対策
2.『眠い時』はすぐに仮眠を取ろう!
マイクロスリープは脳が「 休息したい!」と思っているのに、無視されるので 勝手 に居眠り してしまう症状です。
ならば、意図的に、脳 を休ませてあげれば、勝手にマイクロスリープを起こす必要がなくなるわけです。
眠気を感じたら10分から20分休むことを優先させましょう。
>> すぐにデキる! 効果的な仮眠の種類とは?
3.『長距離ドライブ』は2時間おきに休憩しよう!
脳 は長時間覚醒し続けるとオーバーヒートを起こすため、周期的に 活動量を低下 させる時間帯を設けています。
ランチ後の眠気を胃に血液が集中するためと考えるのが現在も一般ですが、これもオーバーヒートを防ぐ時間帯に当たるからで、昼食を取らなくても強い眠気が発生するのです。
こうした周期的な眠気は3種類存在します。
- サーカディアンリズム ……….. 24時間周期の眠気 (強い眠気)
- サーカセミディアンリズム … 12時間周期の眠気 (強い眠気)
- ウルトラディアンリズム ……. 2時間周期の眠気(弱い眠気)
「3」のウルトラディアンリズムは弱い眠気ですが、2時間という短いスパンで発生しますから、特に睡眠不足の時は注意しましょう。
アメリカ睡眠財団も、長距離の運転には 2時間おき の休憩を推奨しています。安全な運転のためにも是非意識してみたいポイントですね。^^
睡眠時間が取れない場合はどうする?
睡眠に重要なのは「 時間 」ではなく、「 質 」です。
特に、寝始めて最初の90分は睡眠の中で、もっとも心身の回復作業が行われる『 睡眠のゴールデンタイム 』。
ストレス、イライラ、身体の不調を生じさせる自律神経は最初の90分により調整され、身体の細胞の修復を促すグロースホルモン(成長ホルモン)も最初の90分睡眠中で最も分泌量を増やします。
つまり、睡眠時間が短くても、最初の 90分 の眠りを深くすることで、心身を ベストな状態 に近づけることは十分に可能なのです。
普段、睡眠時間が確保できない人は最初の90分を意識してみましょう。
>> 睡眠時間は短くても大丈夫! 短時間で脳をレベルアップする睡眠法のまとめ
まとめ
実は、僕の兄は元来あまり睡眠の必要性を意識していない人で、結果としてマイクロスリープによる交通事故をおこしています。
幸い、無傷ではあったのですが、事故当時は多忙を極めており、知らぬ間に信号を無視してしまうほど、記憶が飛び飛びな状態だったようです。
怖いですね …。
睡眠不足での運転はいつ命を落としてもおかしくありません。
睡眠時間がない時ほど、「 睡眠の質を高める 」意識を持ちましょうね^^